グロリア少年合唱団
昭和34年創立のわが国でもっとも歴史のある少年合唱団です。鎌倉カトリック雪ノ下教会を練習会場としている関係もあって、「マタイ受難曲」や「メサイア」等の宗教曲を中心としながらも、定期演奏会では日本と世界の児童合唱曲や音楽劇もとりあげています。年齢的には、幼稚園年中から小学校1年生のCクラス、小学校2,3年生のBクラス、小学校4年生から変声前までのGクラス、変声後高校3年生までのMクラスの4クラスからなり、4声部からなる混声合唱が中心です。創立からまもなく、パリ木の十字架少年合唱連盟に所属し、カナダ・フランス・スペイン等へ演奏旅行もしています。
●特色
昭和34年創立の我が国でも数少ない少年合唱だけの合唱団です。創立当初は数える程しかなかった子供の合唱団も、その後各地に続々と生まれ、活動しております。しかしその多くは少女を主体とした少年少女合唱団であり、4声部からなる少年だけの混声合唱団というのは貴重な存在となっております。
●沿革 : (あゆみ)
1959年・・・・・・鎌倉カトリック雪ノ下教会に吉井継太郎氏(現在名誉団長)の手で発足。
1960年・・・・・・パリ木の十字架少年合唱連盟に登録。以後、鎌倉市歌レコーディング、定期演奏会等。
1963年・・・・・・NHKテレビ『歌のメリーゴーランド』レギュラー出演、翌年から近年まで宗教音楽研究会の『マタイ受難曲』には毎回競演。
1970年・・・・・・カトリック雪ノ下教会に於て、古今の宗教合唱曲による聖堂演奏会を初めて開催、数々の名曲に取り組んで、毎年一回聖堂演奏会を続けている。
1976年・・・・・・長崎に演奏旅行、浦上天主堂で原爆の日の記念ミサに『フォーレのレクイエム』を歌う。
1983年・・・・・・萩市に演奏旅行。
1987年・・・・・・学習院大学に於て、オネゲル『クリスマスカンタータ』に出演。
1988年・・・・・・3月 宗教音楽研究会『マタイ受難曲』出演。
6月 オルフ『カルミナ・ブラーナ』(小沢征爾指揮、新日本フィル)に3回出演。
1989年・・・・・・3月4日 横浜山手カトリック教会で聖堂演奏会。
3月25日〜4月4日 ローマ・アッシジ演奏旅行(ローマ法王謁見、ミサ奉仕、演奏会)。 1989年より毎年12月23日に、本拠地の鎌倉カトリック雪ノ下教会に於て「メサイア」連続演奏会。
1990年・・・・・・9月24日 於県民ホール 松山バレエ団X’mas公演 くるみ割り人形(堤俊作指揮、神奈川フィル)に出演。
1992年・・・・・・5月9日 於東京芸術劇場 ファリャ作曲「アトランティダ」本邦初演(佐藤功太郎指揮、読響)に出演。
1993年・・・・・・7月20日 於戸塚公会堂 ペンシルベニア少年合唱団とジョイントリサイタル。
1994年・・・・・・7月22日 鎌倉芸術館大ホールに於て「メサイア」演奏会。
8月16〜26日 カナダ演奏旅行(ミサ奉仕、演奏会)
1997年・・・・・・8月28日 鎌倉芸術館大ホールに於てモーツァルト「レクイエム」演奏会。
1999年・・・・・・9月5日 鎌倉芸術館大ホールに於てシャルパンティエ「テ・デウム」、モーツァルト「戴冠式ミサ」演奏会。
2000年・・・・・・3月26日〜4月4日 フランス・スペイン演奏旅行(演奏会、パリのノートルダム寺院に於てミサ奉仕)。
7月16日 フランスのリヨン大聖堂聖歌隊とジョイントコンサート
(特色と沿革は、グロリアさんの資料提供によります)
実に多様な「GLORIA」
「グロリアのGLORIA」という「かけ言葉」のような企画のコンサートは、これまでに聴いた日本の少年合唱団による宗教曲の演奏とは、かなり違う印象を受けました。これまでにも、TOKYO−FM少年合唱団の「クリスマスコンサート」、桃太郎少年合唱団の第4ステージ、広島少年合唱隊の平和と祈りの曲などで宗教曲を聴いてきましたが、グロリア少年合唱団による演奏には何か一本筋金の入ったものを感じました。しかも、「GLORIA」だけを取り出して演奏するというのは、世界の子守唄やセレナードを集めて演奏するのとは趣が違います。何故なら、「Gloria」は、ミサ曲の中で、「Kyrie」に続いて演奏される第2段という位置づけであるからです。ミサ曲全体がいろいろな曲の集合体であり、精神の安らぎと高揚が一つの大きな流れのように繰り広げられる中での「Gloria」は自ずからの位置付けが定まってきます。神の栄光を讃美する壮麗な曲ばかりを数曲連続して聴かされるとかえって単調な展開になるのでは?しかし、そのような心配は杞憂に終わりました。プログラムは、その曲が作曲された時代を縦糸に、「Gloria」というかたちをとった曲の多様性を横糸にして構成されており、さらに初めて聴く曲でも興味深く聴けるように、指揮者の松村努先生の聴きどころの解説入りという親切なステージでした。
簡素な舞台と気品ある演奏
舞台は、中央に十字架をかたどった白いライトに照らされた壇とピアノ・オルガンがあるだけの簡素なもの。この虚飾のなさが好きです。先ず第1部第1曲は聖衣に身を包んだ指導者の4人の先生方による男声のグレゴリオ聖歌の「Gloria」。残響を教会と同じように調整したということもあって、深みのある響きが実に心地よいのです。このような指導者の登場のしかたは、理想的なものです。
第2曲から少年たちの登場ですが、小学6年生ぐらいまでは、白いシャツに臙脂のネクタイ、紺の半ズボンに白いハイソックス、黒いローファ。それより年長は、変声後の男声部も含め上着は同じで紺の長ズボンという気品のある服装と着こなしで、その色彩的調和は秀逸です。また舞台上の動きも洗練されていて、聴く人に安心感を与えてくれます。第一声はこんなものかなと思っていた声も、次第に前に出るようになってよく響くようになり、一人一人に確かな歌唱力がついていることが伺えました。会場がもう3メートルずつ左右に広ければ、音響はさらに広がりをもつことでしょう。第2曲のバーンスタインの「グロリアティビ・グロリア」は、コンガという打楽器を採り入れたりしたため、おそらく発表当時はかなり異質な印象をもたれたのではないかと推察しましたが、バリトンと少年合唱がこれほどよく調和するとは嬉しい発見でした。難曲のプーランクの「Gloria」は、音程に不安を感じる部分はあったものの、大きな流れを掴んだ演奏でした。驚きはポール・パスラーの「MISSA
KENYA」でした。指導者の服部陽介先生の指揮を兼ねた独唱は、大地の香りのするこの曲の生命を伝えていました。いわゆる「つっころばし」の声質と巨大なエネルギーの塊が同居した服部先生の全身からかもし出すものは、聴く人に不思議な力を与えてくれます。思わずプログラムのプロフィールを目にすると、「主に変声した子どもたちの指導をしている」とのこと。きっと、悩み多き変声期の少年たちに元気を与えておられるのでは・・・そのような想像力をかき立ててくれる何かを感じました。
「もっとちゃんとしたものをやろうよ。」
第2部は、高校生ぐらいの少年のソロによる高田三郎の「典礼聖歌集」の「栄光の讃歌」という日本の「Gloria」でスタートしました。未完成の声がみずみずしく、歌う喜びのようなものさえ感じました。
驚きは、松村努先生による解説の言葉でした。
「現代曲ばかりやっていると、団員から『もっとちゃんとしたものをやろうよ。』という声が出てきました。」とのこと。この舞台にいる少年たちは同年代の日本の少年と何か違うものをもっていることは、一目舞台を見ただけでわかっていましたが、それがこんな言葉になって出てくるとは!この少年たちの中には、既に独特な「調和の世界」が形成されているでしょう。その言葉の後に聴くヴィヴァルディとモーツァルトの「Gloria」は、その醍醐味を味わう曲として歌われているのでしょうね。ヴィヴァルディを歌うデュエットの少年たちの歌声を聴くと、TOKYO−FM少年合唱団のソリストたちとの扱いの違いも見えてきます。TOKYO−FM少年合唱団では、一人一人の違いが魅力の根源で、「ボーイ・ソプラノの図鑑」を感じさせますが、グロリア少年合唱団では、ソリストたちも全体との調和の中で生かされているように感じました。
演奏時間は休憩も含めて1時間半。この時間は演奏する側からも、視聴する側からもちょうどよい時間。「もっと聴きたいなあ。」というところで終わるというのは、演奏時間上の理想です。そういうことも含め、グロリア少年合唱団は、持ち味を生かしながら、観客のことまでを考えるステージを創っていました。
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